ただの通勤時間を、合格への投資に変える。私が選んだのは、片道1.5時間の『グリーン車』を自習室にすることでした。一発合格のスマートな記録ではありません。不合格の屈辱から、2度目の受験に向けて腹を括った男の泥臭い記録です。
「PMPなんて、実務には必要ない」
1回目の試験に落ちた直後、私は周囲にそう漏らしていました。しかしそれは、「再受験に向けた覚悟が無い自分」への卑怯な言い訳に過ぎませんでした。
エンジニアとして技術資格は一通り手にし、定年も見えてきた今。第二の人生で「マネジメントの証明」がなければ再就職も厳しいという現実に直面しながら、私は一度、その現実から逃げ出そうとしていたのです。
今日は、そんな私がどうやって「不合格」の屈辱を乗り越え、全ドメインAbove Targetで合格を掴み取ったのか、その全記録を共有します。
1. 絶望の1回目:アジャイルという高い壁
1回目の試験中、私は冷や汗をかいていました。「ベロシティ」や「バーンダウンチャート」といった言葉の意味は知っていても、試験が求める「アジャイルのマインドセット」に則った判断ができず、正解を絞り込めなかったのです。
結果は無惨にも、全ドメインで合格ラインを下回る結果。 これまで資格試験で大きく躓くことがなかった私にとって、この不合格はプライドを粉々に打ち砕くものでした。
2. 再起のきっかけ:「大人の意地」子供に見せる大人の背中
しばらくは「PMP不要論」を唱えて逃げていましたが、ふと我に返る瞬間がありました。 わが家は今、子供の受験シーズン。「勉強しろ」と口にする親が、挫折したまま放り出していいのか?
さらに、これまで費やした勉強時間をドブに捨てるのはあまりにももったいない。「このまま負け犬で終わりたくない」という悔しさが、ようやく私に覚悟を決めさせました。
3. 戦略の転換:通勤電車を「グリーン車の書斎」へ
リベンジにあたり、私は生活スタイルを根本から変えました。
- 「時間の質」への投資: 片道1.5時間の通勤時間を最大限に活かすため、思い切ってグリーン車を利用。PCや本を広げ、誰にも邪魔されない「書斎」を確保しました。
- 圧倒的な学習量: 週11時間、月50時間。1年で合計約600時間をこの試験に捧げました。
救世主となった一冊
全く携わる事がなかったアジャイル。評判の良かった動画学習(Udemy)も試しましたが、英語字幕の講義はなかなか頭に入りませんでした。そんな私を救ったのが『SCRUM BOOT CAMP THE BOOK』です。 プロジェクトの現場に近いシーン設定で解説されているため、アジャイルの概念がスッと脳に叩き込まれました。これ以降、問題を解く際は常に「なぜこの選択肢はNGか」をアジャイルソフトウェア開発宣言に照らして言語化する癖をつけました。
4. 決戦の日:在宅試験という選択
2回目は移動のストレスや電車の遅延リスクを排除するため、在宅試験を選択。前夜まで追い込み、当日の朝も万全のコンディションで臨めたことが功を奏しました。
結果は、以下の通り劇的なスコアアップを遂げました。
- プロセス: Below Target → Above Target
- ピープル: Below Target → Above Target
- ビジネス: Needs Improvement → Above Target
5. 合格の先に見えた「新しい景色」
合格後、PDU取得の為にPMI日本支部の「支部紹介オリエンテーション」に参加しました。 そこで同期のホルダーたちと苦労を分かち合い、自己紹介で拍手をもらった瞬間、ようやく「向こう側の人になれた」という実感が湧きました。
驚いたのは、合格後の反響です。 転職エージェントの履歴書に「PMP取得」と書き加えた途端、スカウトやオファーが目に見えて増えました。 定年後の再就職に対し、漠然とした不安が「楽しみ」へと変わった瞬間でした。
最後に:今、不合格で立ち止まっているあなたへ
PMP試験は、まさに「修行」です。心が折れそうになるのも、言い訳をしたくなるのも分かります。 しかし、その壁を乗り越えた先には、会社で堂々と「PDU取得のために研修を受けても良いですか?」と言える優越感と、確かな市場価値が待っています。
PMPの取得は「本当に大変」、この一言に尽きます。でも、その先にある達成感をぜひ味わってほしい。 覚悟を決めれば、必ず景色は変わります。 向こう側の人になりましょう、応援しています!




